ゲコゲコ
- 2013/05/27
- 22:56
田んぼに水が張り巡らされ、空を映し、カエルの声がゲコゲコと聞こえる、、、
ヒマダが一番好きな時期です。

小学生の頃、実家は塀などがなく、道路に面しているのですが、草むら的なものがいくつか点在していました。
といっても、小さな小さな草むらです。
春は紫の花の蜜を食べ、
夏はオシロイバナで遊び、
秋はキツネソウを見て、
冬は霜柱を踏みしめる。
そんな一年を通して様々なイベントを楽しめる草むらで、ヒマダが一番好きなワクワクを予感させる時期になにをしていたか、もうお分かりですね?
そうです。
バッタの引っ越しです。
ヒマダはある日、一番大きい草むらに、醤油バッタがたくさんいることに気づきました。(草むらA)
そして、そのすぐ隣の少し小さな草むらにはバッタがほとんどいませんでした。(草むらB)
ヒマダはバッタを一匹とり、
バッタの少ない小さな草むらへと逃がしました。(A→B)
そして、それを繰り返しました。(A→B)(A→B)(A→B)…(A→B)(A→B)
これが、バッタの引っ越しです。
それは、ご飯を食べ終わった夕方18時半くらいから始まり(ヒマダの実家の夕飯は17時半くらい)、バッタの数が平等(だとヒマダが思うよう)になるまで続きました。
一仕事終えたら、お風呂に入って、寝るのです(ヒマダの就寝は中3まで21時)。
ヒマダはくる日もくる日もバッタの引っ越しをしました。
バッタにしては、とても迷惑だったでしょう。
想像してください。
同じようだけどどこか違う場所に一瞬のうちに連れていかれるのです。
自分家の近くまで、来たのに、知らない住宅地に飛ばされるのです。
誰かと楽しく喋っていたのに、気づけば見知らぬ土地にいるのです。
よく行くスタバで過ごしていたのに、気づいたら隣の県のスタバにいるのです。
たまったものじゃありません。
しかし、小学生のヒマダはそれを日課とし、くる日もくる日もバッタを引っ越しさせました。
いつからか、妹も手伝うようになりました。
『こっち、いたよ!!』
その声がすれば、バッタ引っ越しセンターヒマダが出動します。
趣味;バッタの引っ越し
になりそうだったある日。
『おーい!おーい!』
夕焼けのなかヒマダと妹を呼ぶ声がしました。
信号待ちをしている車から身をのりだし、近所の男の子が手をふっています。
『ねぇ!なにしてるのー!?』
その無邪気な質問は、ヒマダたちに落雷を食らわせたかのように響きました。
【何をしているのだろう】
我にかえる、そんな言葉がぴったりな状況でした。
バッタを引っ越させてた!!隣の草むらに!なんて、絶対に理解されません。自分達にも理解できてないのですから。
『あ、信号かわった!また明日ね!バイバーイ!』
僕達は、力なく手をあげ半笑いで見送りました。
カエルの声がゲコゲコするなか、
『ねぇ…』とつぶやいたきり、バッタ引っ越しセンターは活動停止になりました。
ヒマダは、何十年たったいまでも、夏の夕焼けには草むらの匂いをはっきりと思い出します。
夕焼け、草むら、ゲコゲコと、
小さな世界に伸びる影。
もう二度と戻れないノスタルジックな思い出なのです。
それがたとえ、
バッタの引っ越しでも。
ヒマダが一番好きな時期です。

小学生の頃、実家は塀などがなく、道路に面しているのですが、草むら的なものがいくつか点在していました。
といっても、小さな小さな草むらです。
春は紫の花の蜜を食べ、
夏はオシロイバナで遊び、
秋はキツネソウを見て、
冬は霜柱を踏みしめる。
そんな一年を通して様々なイベントを楽しめる草むらで、ヒマダが一番好きなワクワクを予感させる時期になにをしていたか、もうお分かりですね?
そうです。
バッタの引っ越しです。
ヒマダはある日、一番大きい草むらに、醤油バッタがたくさんいることに気づきました。(草むらA)
そして、そのすぐ隣の少し小さな草むらにはバッタがほとんどいませんでした。(草むらB)
ヒマダはバッタを一匹とり、
バッタの少ない小さな草むらへと逃がしました。(A→B)
そして、それを繰り返しました。(A→B)(A→B)(A→B)…(A→B)(A→B)
これが、バッタの引っ越しです。
それは、ご飯を食べ終わった夕方18時半くらいから始まり(ヒマダの実家の夕飯は17時半くらい)、バッタの数が平等(だとヒマダが思うよう)になるまで続きました。
一仕事終えたら、お風呂に入って、寝るのです(ヒマダの就寝は中3まで21時)。
ヒマダはくる日もくる日もバッタの引っ越しをしました。
バッタにしては、とても迷惑だったでしょう。
想像してください。
同じようだけどどこか違う場所に一瞬のうちに連れていかれるのです。
自分家の近くまで、来たのに、知らない住宅地に飛ばされるのです。
誰かと楽しく喋っていたのに、気づけば見知らぬ土地にいるのです。
よく行くスタバで過ごしていたのに、気づいたら隣の県のスタバにいるのです。
たまったものじゃありません。
しかし、小学生のヒマダはそれを日課とし、くる日もくる日もバッタを引っ越しさせました。
いつからか、妹も手伝うようになりました。
『こっち、いたよ!!』
その声がすれば、バッタ引っ越しセンターヒマダが出動します。
趣味;バッタの引っ越し
になりそうだったある日。
『おーい!おーい!』
夕焼けのなかヒマダと妹を呼ぶ声がしました。
信号待ちをしている車から身をのりだし、近所の男の子が手をふっています。
『ねぇ!なにしてるのー!?』
その無邪気な質問は、ヒマダたちに落雷を食らわせたかのように響きました。
【何をしているのだろう】
我にかえる、そんな言葉がぴったりな状況でした。
バッタを引っ越させてた!!隣の草むらに!なんて、絶対に理解されません。自分達にも理解できてないのですから。
『あ、信号かわった!また明日ね!バイバーイ!』
僕達は、力なく手をあげ半笑いで見送りました。
カエルの声がゲコゲコするなか、
『ねぇ…』とつぶやいたきり、バッタ引っ越しセンターは活動停止になりました。
ヒマダは、何十年たったいまでも、夏の夕焼けには草むらの匂いをはっきりと思い出します。
夕焼け、草むら、ゲコゲコと、
小さな世界に伸びる影。
もう二度と戻れないノスタルジックな思い出なのです。
それがたとえ、
バッタの引っ越しでも。
テスト

