カスカスクン
- 2013/06/26
- 00:07
中学に入学し、英語の授業が始まった。
ベテランのおばちゃんの【グリーン先生】が担当である。
グリーン先生は、AからZまで書かれた紙を黒板に張った。
アルファベットを覚えることも兼ねて、正しい発音の勉強からである。
『repeat after me!!(繰り返して!) A!(エィ!)』
『えー!』
『no!(違う)A!!(エィ!)』
『エイ!』
『B!!(ビー)』
『びー!!』
という練習を、クラス全員で声を出してAからZまで行うのだ。
[ D ][ V ][ R ]は発音の難しさから特に入念に行われたと思う。
それをしばらく授業の度に繰り返し、皆がなれてきた頃にひとり一文字ずつ当てられるようになった。
前から順番に一人ずつ
『しー!』
『でぃ』
『いー』と、言っていかなければならないのだ。
ヒマダは真ん中の席で、[ F ]が当たった。
Fの発音は[前歯を下唇に当て、息を吐き出す]と習ったので、ヒマダもその通りに、前歯を出して息を吐いた。
気分はバイリンガルである。
『フーーーーッ』
『はぁ?』
まさかの反応が返ってきた。
『フーーーーッ』
『え?』
『フーーーーッ!』
『ほら!ヒマダ君!Eの次だよ!!』
だから、発音しているではないか。
確かに、正しい発音でFと言えば、先生のところまで聞こえないのは分かる。
『フーーーーッ!フーーーーッ!』
ヒマダがカスカスと息を吐き続けると、前の席の子が振り向いてニヤニヤしてきた。
『ヒマダ君!』
先生は相変わらずだ。
多感な時期になんていう扱いだろう。
もうヒマダは観念して
『エフ!エフです。』
と言った。
『違う!下唇かんで、フーーーーッ!!』
さっきから何度もやっているのを、無視し続けたのは先生ではないか。
『フーーーーッ』
ヒマダがもう一度先生の方を向いて、下唇をかむと
『あぁ!さっきからしてたのね。はい、次』
『ジー!』
『つぎ!』
何事もなかったように授業が再開された。
英語の授業が終わると、前の席の子が『災難だったね』と半笑いで声をかけてくれたのが、せめてもの救いだった。
ベテランのおばちゃんの【グリーン先生】が担当である。
グリーン先生は、AからZまで書かれた紙を黒板に張った。
アルファベットを覚えることも兼ねて、正しい発音の勉強からである。
『repeat after me!!(繰り返して!) A!(エィ!)』
『えー!』
『no!(違う)A!!(エィ!)』
『エイ!』
『B!!(ビー)』
『びー!!』
という練習を、クラス全員で声を出してAからZまで行うのだ。
[ D ][ V ][ R ]は発音の難しさから特に入念に行われたと思う。
それをしばらく授業の度に繰り返し、皆がなれてきた頃にひとり一文字ずつ当てられるようになった。
前から順番に一人ずつ
『しー!』
『でぃ』
『いー』と、言っていかなければならないのだ。
ヒマダは真ん中の席で、[ F ]が当たった。
Fの発音は[前歯を下唇に当て、息を吐き出す]と習ったので、ヒマダもその通りに、前歯を出して息を吐いた。
気分はバイリンガルである。
『フーーーーッ』
『はぁ?』
まさかの反応が返ってきた。
『フーーーーッ』
『え?』
『フーーーーッ!』
『ほら!ヒマダ君!Eの次だよ!!』
だから、発音しているではないか。
確かに、正しい発音でFと言えば、先生のところまで聞こえないのは分かる。
『フーーーーッ!フーーーーッ!』
ヒマダがカスカスと息を吐き続けると、前の席の子が振り向いてニヤニヤしてきた。
『ヒマダ君!』
先生は相変わらずだ。
多感な時期になんていう扱いだろう。
もうヒマダは観念して
『エフ!エフです。』
と言った。
『違う!下唇かんで、フーーーーッ!!』
さっきから何度もやっているのを、無視し続けたのは先生ではないか。
『フーーーーッ』
ヒマダがもう一度先生の方を向いて、下唇をかむと
『あぁ!さっきからしてたのね。はい、次』
『ジー!』
『つぎ!』
何事もなかったように授業が再開された。
英語の授業が終わると、前の席の子が『災難だったね』と半笑いで声をかけてくれたのが、せめてもの救いだった。
テスト

